佐野の文化人 新井啓泰さん

ピアニスト 新井啓泰さん

今回より現在活躍中の若手芸術家を紹介するコーナーをスタートします。第1回はピアニスト新井啓泰さんに登場いただきました。取材で市内赤見町のご自宅にお邪魔しました。新井さんは5歳からピアノを始め、東京藝術大学卒業後、ドイツ国立ハンブルク音楽大学、イタリア・ペスカーラ音楽院でディプロマを取得。留学中には文化庁新進芸術家海外派遣員を務め、帰国後は国立音楽大学大学院修士課程を修了。イタリア・カラブリア国際ピアノコンクール・ディプロマ賞をはじめ、国内でも数々のコンクールで受賞されています。ソロリサイタルは東京文化会館や浜離宮朝日ホールで数多く開催。2012年東京文化会館大ホール、16年、20年にはサントリーホール大ホール「第九と皇帝」演奏会でピアノ協奏曲のソリストを務めました。

また第7回佐野クラシックコンサートではオーケストラ・アンサンブル佐野とラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を熱演し多くの感動を残しました。現在、宇都宮短期大学教授・学科長、フェリス女学院大学非常勤講師、全日本ピアノ指導者協会ピティナ正会員という立場で演奏家・教育者として市内はもとより県内、首都圏まで広範囲に活躍されています。

 新井さんの大切な活動に室内楽があり「スピーガ・カルテット」と「トリオ・アンベリール」を主宰し、各地で意欲的な演奏活動を行なっています。「室内楽はいろんなところで演奏でき、演奏者同士のやり取りやライブ感がいい」と語ります。また後進を育てる楽しさとやりがいを感じているとのこと。コロナ禍でコンクール等に向けて勉強が大変になっている学生のためにインターネットを利用してピアノ演奏やレッスンの配信も行なっています。 自分のこれまでの経験で得たものを地元に還元して恩返しをしたい、これからも演奏だけでなく、より広く音楽文化に関わっていきたいという思いを持たれています。佐野に素晴らしい音楽家がいることを再確認して新井宅を後にしました。ありがとうございました。

(廣瀬 裕)

※ 記載内容は「さの文化第17号」(令和4年3月31日発行)より転記しました